「もっとよく考えてください。」「考えが浅い。」と職場で言われて、悩んだことはありませんか?
もしくは、プライベートでも自分の考えをうまく相手に伝えることができない、そんな悩みを持つ方も多いかと思います。
今回ご紹介する「ゼロ秒思考」では、「頭を整理し、深く考える」ためのシンプルで最適な方法を学べます。
著者の赤羽雄二氏は、ビジネスコンサルティングで有名なマッキンゼー社で、コンサルタントとして14年間第一線で活躍してきた方です。そんな著者が業務や様々な取り組みの中で生み出したのが、本書で提唱する「メモ書き」 です。つまり、一流コンサルタントの思考の整理術や、考え方を深める方法を学ぶ機会がこの本には散りばめられているのです。
そんな秘伝とも言うべき「メモ書き」について、本で学び実際にしばらく実践してみた私が、感想や結果を踏まえてご紹介します。
*タイトルであるゼロ秒思考とは、メモ書きを実践し続けることで、判断に迷う時間をほぼ無くし(ゼロ秒に近づける)、即断即決できる思考の究極形態の事を指しています。
ゼロ秒思考のメモの取り方
冒頭でやや大袈裟に紹介してしまいましたが、メモ書き自体のやり方は至ってシンプルです。子供から大人まで誰でも実行でき、場所も選びません。下記の内容を1分以内に行うだけです。
- A4用紙を横置きにする
- 左上にメモのタイトルを書き、下線を引く
- 右上に年月日を書く
- 4~6行の本文(各行20〜30文字)を書く
- ①~④を繰り返し、毎日10ページ書く
実際に書いてみるとこのような形です。
*下記の例は見やすさを考慮してPCで入力していますが、私も実際には手書きで実践しています。
重複など気にせず、個人名も隠さず、思いついたものからどんどん書いていくことがコツです。
各行の中で深掘りしたい内容が出て来たら、それを次のタイトルとして、また1分間でひたすらにメモを書いていきます。
この手順でメモを書き続けるだけで、思考力が飛躍的に上がり、仕事のスピードが劇的に速くなり、悩みが軽くなるといった多くの恩恵を受けることができるとのことです。
「メモ書き」をやってみた感想
私も実際に毎日10ページ以上書いているのですが、慣れるまでは正直大変でした。最初に特に苦労した二点をご紹介します。
- 制限時間が短い
タイトルを含めて4~6行を1分で書くのは至難の業です。思考の早さもそうですが、手書きに慣れていないと、書くという行為自体にも余計な時間をかけてしまいます。(特に漢字を思い出すのに余計な時間をかけてしまう。) - タイトルをどう決めればよいかわからない
とりあえず思いついたものから適宜書き出していきましたが、本当にこんなつけ方でいいのか?という疑問を持ちながら進めていると、どうしても思考が鈍って量が書けませんでした。
ただし、継続していくことで明らかに以前より早く、量を書くことができるようになったことを実感できました。やはり頭になんとなく浮かんだものでも手書きのメモとしてアウトプットすることで、思考が整理されます。
新しいアイデアを思いついたり、悩みが減ったりといった多くのメリットを感じることができました。
以下、補足としてタイトルの例を紹介します。まずは本に書いてある事例などから手を付けるのも良いかと思います。
上司に腹が立った時、心を落ち着けるために
- なぜ課長はあんな嫌な言い方をしたのか
- 課長があの言い方をした目的はなんだったのか
- 自分が課長だったらどういう言い方をしたか
- 部長から見ると、課長はどう見えているか
悪口を言われても気にしなくなる
- 悪口を言われても気にしないためには
- どういう悪口なら気にならないのか
- どういう悪口が特に許せないのか
- 悪口を言われても気にしない人はどうしているか
メモ書きはプライベートでも仕事でも、あらゆる分野で活用することが可能です。
本書には上記以外にも様々なシーンのタイトルのリスト、深堀りの方法、整理の仕方などが記載されています。正しく最短距離で学ぶにも、是非本書を手に取りながらメモ書きを実践してみましょう。
実践にあたって注意すること
著者も本書の中で何度も指摘していますが、メモ書きのフォーマットをあれこれ検討し、自分に都合の良いやり方に変えるのは、しばらくはやめておいた方が得策です。
重要なのは1分という時間制限の中、手書きでメモを取ること、そして継続することです。
それ以外のことは、まずは2週間でも1か月でも継続してから考えればよいと思います。
たとえば2週間継続すると、14日×10枚=140枚書くことになります。ここまで来るとある程度の成果が見えてくるので、その後もし必要ならば自分なりに方法をアップデートしてみましょう。
頭を整理し、効率的に深く考える方法で実践する方が、はるかに重要であることを忘れてはいけません。
【補足】メモの保管方法について
とはいえ、 本書の後半に記載されているメモの保管方法については、多くの人が腹落ちしにくいポイントかと想像します。
*本書は2013年に書かれた本です。便利なツールが数多く存在する現在において、そのまま真似て実行するのは非効率と感じる箇所もいくつか存在します。なお、著書自身もその可能性について述べています。
そこで、私なりの活用方法も補足として簡単にご紹介しておきます。合う合わないは人それぞれのため、少し試して合わなければ、自分なりの方法も探してみてください。(何より重要なのはメモ書きを実践することなので、目的を見失わない程度にお願いします。)
本書「ゼロ秒思考」では、構造などを気にせずにとにかくスピード重視で書き出すという方針を採用しています。結果、どうしてもメモの粒度の違いが出てくるため、整理や振り返りをするのが難しくなります。そこで私はマインドマップツールを使用して、メモを構造化して整理する方法も追加しました。
実際に入力した手書きメモを基に、マインドマップ上であらためて整理して入力していきます。これによって、情報の粒度を精査しやすくなるため、抜け漏れや重複が減らせますし、振り返りも容易になります。(大きな気づきとなったメモのみ写真を撮って保管しています。)
もちろんこれ以外にも方法はたくさんあるかと思いますので、自分の目的に合った方法を探してみると良いかもしれません。
まとめ
頭の中だけで考えず、メモ書きとしてアウトプットすれば確実に思考は整理され、深まります。これは多くの成功者が実践し、結果を出しているある意味究極の方法と言えるでしょう。その中でも、本書「ゼロ秒思考」では誰でも簡単にできるシンプルな方法を提示しています。
私の場合、本書で提唱するメモ書きを2週間くらい継続した頃から、徐々にコツを掴んだのか、今までよりも効率的に考えられるようになったなと感じるようになりました。
まずは1分という短い時間に区切ることで集中力が増し、思考が前に進んでいることを実感できました。また、思いついたものを構成など気にせずとにかく書き出す方法は、一見非効率なようで頭を整理するのに非常に役に立つと感じました。
思考の整理が苦手な方、効果的なプレゼン資料を作りたい方、現状に何かしら不満があり改善していきたいと考えている方、是非この本を読んでみてください。
そして、極意を理解してから実際に体験+継続してみてください。習慣化することで、仕事や日常生活を一変させるほどの効力を、この本は持っています。
もしくは、まずは職場で自分のタスクや思考の整理をすることから始めてみませんか?A4の紙とペンは職場にはいくらでもあるかと思います。
私もまずは職場でメモ書きを始めてみましたが、継続することで本業への良い効果が出始めていますし、自宅では副業の準備やプライベートの充実化も合わせて進めています。
多くの悩める方にとって、今日この本と出合うことが人生を変えるきっかけとなることを祈っています。